SE不足の本当の原因とは?
多くのブログでSE不足の原因について語られています。とても参考になり、間違ってはいないのですが、表面的な解説が多く、「今なぜ?」という疑問にこたえられていなかったので、本当の原因を解説させていただきます。
多くのブログでは以下のような原因が挙げられています。
【理由1】WEB業界・IT市場の成長
【理由2】既存の技術者の高齢化・定年
【理由3】IT技術者の仕事へのネガティブなイメージ
【理由4】IT技術者の年収の低さ
ただ、これって、10年前からあまり変わらないんですよね。「なんで今?」というのの理由になっていないんです。つまり表面的な理由なんですよね。
本当の原因はマクロ的な視点を持つことでわかります。
マクロ経済では、アベノミクスにより「異例の金融緩和」というのが行われているのはご存知ですか?いわゆる黒田砲というやつです。
要は日銀がお札を刷って、市場にばらまいているんです。なので、企業の財務状況は、内部留保が史上最高になっているといわれています。つまり、現金があまって仕方ない状態なんです。
だったら、労働者の給料を上げろよ、と思いたくなるところですが、そうはいかないのが資本主義というものです。
その資金をどのように使うかというのが、経営者の悩みなんです。銀行に預けておいても異例の低金利なので、投資していないと大きく損をしてしまいます。なので、投資先を探している状態です。
そんななか、有力な投資先とみなされているのが、ITなのです。
実は、クラウド、AI、フィンテック、などのバズワードは実態はなくはないですが、このような投資マネーを引き込むために作られた言葉といっても過言ではありません。
なので、IT企業はもちろん、非IT企業までもITに投資する状況になっています。例えば、トヨタ自動車は自動運転を本格化すべく、シリコンバレーにAI研究所を設置するほどの熱の入れようです。
東京三菱銀行はフィンテックを軌道にのせるべく、テクノロジー系のスタートアップに多額の投資をしはじめました。
このような状態はバブルと言ってもいいと思います。というのは、ほとんどの事業は「赤字」だからです。売上がゼロでぽしゃってしまっているプロジェクトが腐るほど出ています。
このような状況で、ちょっとでも手を動かせるエンジニアが求められているのです。そして、エンジニアの供給がとくに増えているわけでもないので、不足してしまっているということです。
日本でもっともエンジニアをかかえている業界であるSIerのエンジニアは、人月商売のため、最新の技術などを習得することはないので、スキル不足のエンジニアを量産してしまっているのも大きな原因です。
このようなマクロ的な状況があり、「今」SEが不足してしまっているということです。